東洋医学が2000年前に気づいていた「天人合一」の世界
以前、日本や中国、韓国で東洋医学を学んだ鍼灸の先生から、
こんな話を聞いたことがあります。
「1年は365日。そして、人体のツボは361穴。近いよね。偶然だと思う?
…昔は365穴だったんだよ」
へーそうなんだ、とうなずく間も無く、
それ以外にも東洋医学と地球との共通点をいろいろと教えてもらい、
東洋医学は自然との関係が深い、ということは理解しました。
時が経ち、鍼灸師として日々鍼で施術をする身になり
腎を補った方がいいとか、
春は肝を補おうとか、
東洋医学の用語を当たり前に使っています。
このブログを開設するにあたり、
東洋医学のそもそもの部分を人に説明してみようと思うと、
忘れていることや、知識の浅い部分、
知らないこともまだまだ沢山あることを痛感…。
ここは、自分のためにも、読んでくれる誰かのためにも
東洋医学の根幹を改めて学び直そうと、
持っている書物を開き、成り立ちから読んでいた時に
この先生との会話を思い出しました。
日常で当たり前になっている事象と、
東洋医学との共通点を見つめながら、自分の学びも兼ねて
拙いながらですが紐解いていきたいと思います。
よかったらお付き合いくださいね。
『 365 』と東洋医学
「365」という数字。
現在の国際標準では
十二正経と任脈・督脈を合わせた十四経脈上に
361の経穴(ツボ)が定められていますが、
約2200年前に書かれた、東洋医学の原点とされる医学書
『黄帝内経・素問』の気穴論篇には、
「気穴三百六十五穴、以て一歳に応ず」
ー人体には365のツボがあり、その数は1年の日数に応じているー
と書かれています。
これは実際にこのツボは何月何日のツボです!
と解いているのではなく
365日で1年が巡るように、
人体の気も巡っている、
「人も自然の一部である」という
天人合一の思想を現しています。
ちなみに、十四経脈とは、
十二正経(肺経・大腸経・胃経・脾経・心経・小腸経・膀胱経・腎経・心包経・三焦経・胆経・肝経)に
任脈と督脈を加えたもの。
そして、円は360度。
365にも、361にも近い。
偶然かもしれないけれど、
東洋医学が「循環」の医学だと知ると、妙に納得してしまいます。
『 12 』と東洋医学
東洋医学には正経十二経脈、
つまり12本の「気の通り道」があります。
※先述した十四経脈に含まれる任脈・督脈は、
奇経八脈(任脈・督脈・衝脈・帯脈・陰維脈・陽維脈・陰蹻脈・陽蹻脈の8本)の中の2つですが、この中でも任脈と督脈は独自の経穴を持つため、十二正経と合わせて十四経脈として扱われています。
12は、私たちの日常のあちこちに出てきますね。
時計の針は12まで。
1日は12の時辰(じしん)という単位で分けられていました。
1年は12ヶ月。
干支も12年でひとまわり。
1ダースも12。
なぜ、区切り良さそうに見える10ではなく、
12なのか。
12は、1,2,3,4,6で割り切れる、分けやすくバランスの取れた
単位として非常に便利な数字です。
1年間の流れを、
2ヶ月毎に区切ることもできるし、
季節は春夏秋冬の4つに分けられ、
前期・後期の2期にも、
3期にも区切ることができますね。
『黄帝内経(こうていだいけい)』の霊枢・経別篇に、こう明記されています。
「六腑は六律に応じ、それが十二月、十二辰、十二節、
十二経水、十二時、十二経脈に合する」
ー 六腑は六律(自然界の音や調和、リズム)に対応し、
その法則は十二ヶ月、十二の時刻区分、十二の季節の節目、
十二の河川、十二の時間帯、そして十二経脈に共通して現れている ー
古代では、音・季節・天体・人体は
全て同じ法則のもとにあると考えられていた。
つまり、人の体が宇宙のリズムそのもの、
というような意味で捉えられていたのです。
十二月は12ヶ月。
十二辰とは、
子(23-1時) 丑(1-3時)など、
子 丑 寅 卯 辰 巳 午 未 申 酉 戌 亥 で
1日を12に分けた2時間ずつの単位のこと。
つまり、「12経絡=12ヶ月」という照応は、
誰かの思いつきではなく、2200年前から体系化されていた思想なんです。
そしてもうひとつ。
東洋ならではの考え方に
「子午流注(しごるちゅう)」があります。
十二経絡それぞれに
「気が最も盛んになる2時間」があって、
1日24時間をぐるりと十二経絡が順番に担当しています。
体は時計を持っている。
そして、その時計の刻み方が12、なのです。
子午流注については、追って記事にしていこうと思います。
『 5 』 と東洋医学
東洋医学の根幹に、五行説があります。
世界は「木・火・土・金・水」の
5つのエネルギーでできていて、それぞれが互いを生み出し(相生)、互いを抑え合う(相克)ことで、バランスを保っている——という考え方です。
人体もこの5で整理されています。
• 五臓:肝・心・脾・肺・腎
• 五味:酸・苦・甘・辛・鹹(かん)
• 五感:視・聴・嗅・味・触
などなど。
でも「5」は人体だけじゃない。
現代の地理でも、
地球には
5大陸
5大洋
があり、
仏教では、宇宙を
五大(地・水・火・風・空) で表し、
儒教には
五倫という、5つの人間関係の規範(父子・君臣・夫婦・長幼・朋友)
があります。
五行学説の最も古い記録は、
儒教の経典『尚書』洪範篇にあります。
「五行、一曰水、二曰火、三曰木、四曰金、五曰土」
ー五行とは、第一に水、第二に火、第三に木、第四に金、第五に土であるー
紀元前1000年頃(!)に書かれたとされるこの記述が、五行説の出発点です。
『尚書』洪範篇の五行は、人々の日常生活に必要な5種類の素材を示していて
五材、と呼ばれていたそうです。
それが後に『黄帝内経』において、
五臓・五味・五色といった人体の要素へと体系的に応用されていきました。
五行の出発が、紀元前1000年頃と知った時は驚きました。
五行についても、また別の記事で書いていこうと思います。
ちなみに、五行説と陰陽説はもともと別々の思想で、
お互いが結びついて「陰陽五行説」として体系化されたのは
戦国時代の鄒衍(すうえん)以降のことです。
12、365、5。
12、365、5
これらの数字の一致は、科学的に証明されたものではないけれど、
私たちの日常にある、月日やエネルギーの巡りを表していると知ると、
私たちは自然から切り離された存在ではなく
宇宙の大きな流れの中で生かされているのだろうと感じます。
本当は自然の中の一部なのに、情報過多の時代では
そう感じることが難しくなっていますよね。
都会に住んでいたら、圧倒的な大自然の中に身を置く時間も少なく、
自分から触れにいかないといけない場合が多いと思うので
仕方がないのですが。
だからこそ、東洋医学という「自然の縮図」を通して、
日常の中に眠っている自然とのつながりを知ることは
人間の健康のルーツを知ることでもある。
それが、心と体の安定にも、役立つ気がしています。
忙しいと、目の前のタスクをこなし、日々生きることで
精一杯になっちゃうんですけどね。
日々の施術で、鍼灸で心身が健やかな状態に近づく変化を目の当たりにすると
東洋の知恵や鍼の力はやっぱりすごいなあと思います。
子育て(部活に忙しい上の子と、少年スポーツで親が大変な下の子…)、仕事、家事、に加え、
リアル更年期な自分の体調管理のスキマ時間に書いているので
超スローな更新ですが汗
よかったら今後もお付き合いくださいませ。

